視点
地域を活性化する協同組合「さいたま総合研究所」
2025/07/16 09:00
週刊BCN 2025年07月14日vol.2067掲載
主たる顧客も会員数と同じく60社ほどあるが、これも地元埼玉は1割程度で、あとは北海道から九州まで全国くまなく広がっている。ビジネスレップ事業部、ものづくり事業部、農林水産ビジネス事業部など九つの事業部がそれぞれメンバーを募集し、営業を行う事業部制を取っている。
もともとコンサルタントは独立性が強い。いわば協同組合にはなじまない方々である。どうしてこんな組織をつくったのか。1990年1月の創業時のメンバーの一人である中小企業診断士の合田正恒さんにお聞きすると「コンサルタントは一人で仕事をしていると専門の分野では深くなるが全体が見えなくなりがちである。また、仕事がいっぱい来るときもあるが、途切れるときもある。これをうまくつなぐ方法はないかと考えたのです。最初は私の自宅が事務所でしたが、後継者の努力と才覚でお客さんの支援もあり、今や売上高が1億円。正直こんなになるとは夢にも思いませんでした」と語る。
この想定外の理由だが、一つは士業の方であればどこからでも、誰でも参加できる。また、全国どこの顧客でも、原則どんな仕事でも受ける。この自由で、前向きな姿勢が想定外を生み出した。組合への出入りを自由にし、志ある者は誰でも参画できる長州藩の奇兵隊のような組織にしたことである。事実、本年度も新入会員が数名いる。
また、個々のサービス内容がきめ細かい。例えば補助金であれば、ものづくり補助金や省力化補助金など主要11補助金に分けて専門家が伴走し、採択率を上げている。もう一つは中小企業同士のつなぎ合わせである。得意分野の一つがリサイクル事業で、例えば和歌山県の企業と埼玉県の企業の連携によるリサイクル関連の事業支援など広域的な組み合わせは、さいたま総合研究所ならではと言えるような取り組みである。
- 1