脅威インテリジェンスなどを提供するイスラエルKELA Research and Strategy（ケラリサーチアンドストラテジー）の日本法人は10月21日、報道関係者向けの事業戦略説明会を開催し、米Secureworks（セキュアワークス）日本法人の社長を務めていた廣川裕司氏が執行役員社長兼COOに就任したことを発表した。廣川社長は、能動的サイバー防御法の成立などを背景に国内でも脅威情報の需要は高まっているとし、2028年末までに国内の事業規模を現在の3倍に成長させる目標を掲げた。
 
　ケラはサイバー脅威の情報を提供するセキュリティー企業として、15年にイスラエルで設立された。創業メンバーにはイスラエル国防軍（IDF）の諜報部隊出身者も含まれるという。ダークWeb上の情報を含むサイバー攻撃者の動向を監視し、顧客向けに脅威の接近を通知するサービスなどを展開。傘下企業として、顧客のシステムに存在するリスクを攻撃者の視点で検出するULTRA RED（ウルトラレッド）、グループ会社や協力会社などサプライチェーンのリスクを管理するSLING（スリング）を設立しており、3社が連携して顧客のリスクを包括的に可視化するサービスを提供している。

　日本法人のKELAは19年設立で、中央官庁や一部の大企業が顧客だった。廣川社長は「能動的サイバー防御法が成立し、全ての官公庁や（基幹インフラに携わる）企業がこれに対応するオペレーションを求められるようになる」「戦いに負けないためには、まず敵を知り、己を知ること」と述べ、脅威インテリジェンスを求める企業が今後大幅に増加するとの見通しを示した。

　3年で事業規模を3倍に伸ばすという目標を実現するため、パートナーエコシステムの強化に注力する。現在国内の販売パートナーは13社だが、これを50社まで拡大する考え。また、ディストリビューターとリセラーの2階層を通じた「2ティアモデル」での提供も視野に入れ、従来よりも幅広い規模・地域の企業へ脅威情報サービスの提案を図っていく考え。
（日高 彰）