Letters from the World

中国の若い労働者の生活

2003/12/22 15:37

週刊BCN 2003年12月22日vol.1020掲載

 中国は人権や民主主義が確立できていないとよくいわれる。米国など、政治的交渉のたびに、この問題をよく用いる。しかし、このことで、大いにメリットを受けているのも、米国や日本であろう。安くて豊富な労働力が手にできることのみならず、緩い公害規制、工業用に優先され、一般市民が十分に享受できない電力供給、地球温暖化が危ぶまれる巨大なキャパシティの製造設備、これらが先進国で必要とされる工業製品の潤沢な提供を大量かつ低価格で実現することに寄与している。また、高速道路や新幹線の建設など、主要な国家プロジェクトは、市民運動の妨害なしにどんどん進められる。

 このような状況下ではあるが、工場の作業員や一般の会社の従業員が悲惨な生活をしているかというと、そうでもない。中国の法律も労働者を保護するし、また会社や工場も、決して立派ではないが、寮の提供や社員食堂の設置などの福利厚生をどこでも行っている。衣食住のコストのほとんどを会社が負担するので、個人ではほとんど消費もしない。これだけ物が安く潤沢に手に入る中国でも、地方から出てきた労働者は家財道具などをほとんどもたない。会社をかわる際の引っ越しも、鞄1つという手軽さである。

 紙袋1つで面接に来た女の子が、その日から雇用され、その場ですぐ働き始める、などといった光景はよく目にする。日本の引っ越しだったら、やれテレビやステレオ、パソコン、電子レンジ云々で、学生でも家財道具がトラック1台分になるのはあたりまえだろう。中国では一般労働者の給料が日本の十分の一と言われているが、消費がほとんどないので、我慢すればほぼ全額が手もとに残る。日本で、クレジットカードの毎月の支払いに追われる若者と対象的である。中国で将来、週休二日制になり、街中にコンビニが出現するようになったら、中国は世界の工場でなくなってしまい、大量消費市場に変わってしまうのだろうか。アコードインターナショナル 原 真
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