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アグレックス ビジネスプロセスマネジメントで業務高度化と業務変革を実現 マンパワーゼロと新事業の創出を推進

2025/06/12 09:00

週刊BCN 2025年06月09日vol.2062掲載

 BPO事業を主体に保険をはじめとする金融業界で多数の実績をもつアグレックスが注力するのが、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)だ。お客様の業務プロセスの可視化や標準化をベースとし、そこからデジタル化を通じた「業務の高度化」と、新たな事業創出につながる「業務の変革」をコンセプトに掲げる。BPMを多くの業界に向けて提供していくため「SIerの方々に、自社商材と組み合わせた付加価値としての提案をしてほしい」とアピールする。

 TISインテックグループの中核企業の一社であるアグレックスは、BPO事業を通じて企業のビジネスプロセスの最適化を支援してきた。現在は「BPMカンパニー」を掲げて、コンサルティング、IT、BPOなどを組み合わせて、企業の業務プロセス変革をトータルサポートしている。

 同社が提供するBPMのコンセプトに掲げるのは大きく二つ。マンパワーゼロの実現に向けた取り組みである業務の高度化と、新事業の創出につなげる業務の変革である。

「AS-IS」と「TO-BE」、AIも活用 改善に向けてPDCAサイクルで回す

 業務プロセス変革に必要な考え方としてまず重要なことは業務の可視化だ。ありたい業務の姿「TO-BE」を導くためには、現状の業務課題「AS-IS」を正しく知ることが重要となる。アグレックスではこの「AS-IS」「TO-BE」の手法をサービスとして確立している。企業全体の業務プロセスを階層別に可視化。業務のボトルネックの特定から費用対効果のシミュレーション、あるべき姿のシステムイメージ(モックアップ)の提示までをわずか3か月で行う「BPM-QuickWinサービス」は顧客から評価を得ており、特に、自社だけで業務プロセスを可視化していくことに限界を感じている企業で高い効果を上げている。

 「上記の『AS-IS』『TO-BE』の考え方をベースにおきながら、そこにデジタルプロセスツール(業務の自動化)やAIエージェント(自律型AIにおける業務判断)を適用、短期間でPoCを実施し改善に向けた取り組みをPDCAサイクルとして回していくことで、『マンパワーゼロ』を目指していく」と、ビジネスプロセスマネジメント事業統括本部事業企画統括部の森田純一・事業企画部長は説明する。
 
森田純一 部長

 業務の高度化の実例としては、AIを活用した次世代コンタクトセンター基盤の構想がある。コンタクトチャネルのAI化は昨今さまざまな取り組みが行われているが、アグレックスは従来より強みのある生命保険業のコンタクト業務にて実証を開始した。保険契約者と、保険会社の職員のやり取りの中で、AIエージェントを活用することにより、マンパワー対応をゼロにするというものだ。

 直近では、入院給付金支払までのプロセスにおいて、AIエージェントがプロセスを抜本的に改革する実証をスタートさせている。具体的には給付金請求から、審査・支払前チェック、支払完了までのプロセスが問題なく進む通常ケース(全体の80~90%)と、住所変更や保険料支払漏れ、書類不備といった問題の発生で、個別対応が求められるイレギュラーケース(全体の10~20%)を用意し、AI対応の有無で比較を行っている。所要日数の劇的な削減(7日かかるところをわずか1日)と、難易度の高い業務は営業職員が対応し、基本的な業務は全てAIにてやり取りを可能とするマンパワーゼロの業務の実現に向けて取り組んでいる。コンタクトチャネルのAI化は保険会社に限らずさまざまな業種で活用可能性があり、本結果を応用した横展開も予定している。

自社サービスに「保険」組み入れ 参入企業を一括でサポート

 一方、業務の変革では、お客様の従来の事業に「サービス&仕組み」をアドオンして、新たな事業を創出するものだ。

 具体的な事例として挙げるのが、エンベデッドインシュアランス(組み込み型保険)である。これは、さまざまな企業が提供する商品やサービスの中に保険を組み込んで提供する新しい販売手法で、消費者が商品やサービスの購入をネット上で行うケースが増加したことで、さまざまな事業者の参入が相次いでいる。

 「特に、BtoCのサービスを展開している地場の電力会社や航空会社、通信会社、不動産などのプラットフォーマーが取り入れやすく、新しい収益源にできる」と森田部長は話す。
 
※Business Process as a Service
(BPOとSaaSを組み合わせたサービスモデル)

 アグレックスは、2024年11月に保険DXを推進するjustInCaseTechnologiesと、BPaaS※領域における協業に向けた資本業務提携を行い、保険の商品設計から業務運用まで支援するBPaaSモデルの構築を開始した。異業界の事業者が組み込み型保険の販売を手掛ける際の障壁となる保険業界のノウハウ不足や、運用要員の手配、法改正への対応といった課題を解消し、スピーディーな立ち上げを可能にする。justInCaseTechnologiesがもつ保険商品設計力と保険業界での豊富な販売・マーケティング支援、及びアグレックスがもつ業務プロセス構築の実績を生かし、保険会社とプラットフォーマー双方を繋ぎ、顧客ニーズの分析から最適な保険設計、導入、実装後の運用に至るまでBPaaSモデルでトータル支援を行っている。

SIer各社との共創で加速する顧客の業務改革

 
及川康之 執行役員

 「業務改革はあらゆる企業が考えていることだが、総論OK、各論NGになりやすく、AS-ISの分析段階から暗礁に乗り上げることがよくある。業務プロセスの可視化や標準化をベースに『業務の高度化』『業務の変革』を推進する当社のケイパビリティを、SIer様の提案の一部に組み込み、共創型でご一緒させていただけるとありがたい」と、執行役員でビジネスファンクションサービス事業本部の及川康之・ビジネスプラットフォーム事業部長はアピールする。
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外部リンク

アグレックス=https://www.agrex.co.jp/