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ソニー、“アテネの金”逃す?

2004/08/30 15:27

週刊BCN 2004年08月30日vol.1053掲載

 「消費者がテレビを買い替えるサイクルは8年」。ソニーの薄型テレビ新製品発表会でソニーマーケティングの鹿野清執行役員はそう語った。

 8年とすれば、4年毎に開催されるオリンピックが2回は絡んでくる。テレビの買い替え需要が高まる絶好のチャンスのはずだが…。しかし、今回ソニーは早々にアテネオリンピックを意識した戦略は特に打たない方針を固め、オリンピック需要を見込んで早くから薄型テレビの新製品を続々と投入してきたライバルに差をつけられた。

 ソニーでは薄型テレビ商戦のピークは冬のボーナスを当て込んで年末と見ている。アテネオリンピック真っ最中に発表した新製品に最大限の技術を結集し、ライバル巻き返しを狙う。

 オリンピックが終われば、薄型テレビを含めたデジタル家電の需要は一段落。さらに年末にかけて在庫が出てきて価格も大きく下落するというのが今の予想。その懸念に対しても、「期待は変らない」(鹿野執行役員)と、かなりの自信。

 ソニーは、新製品をオリンピックの熱気も冷める9月から順次発売する。ライバルもオリンピック終了後は年末商戦に向けて体制を立て直してくる。ライバルに出遅れオリンピック商戦は“予選落ち”したものの、敗者復活で“年末商戦の金メダル”といくかどうか。
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