▼「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも」。俳人正岡子規の歌集「竹の里歌」(明治31年)の中の1首だ。日本のプロ野球界が球団合併やストライキで迷走するなか、〝見れど飽かぬ〟活躍で楽しませてくれた米シアトル・マリナーズのイチロー選手。それまでのシーズン最多安打記録保持者ジョージ・シスラーの257安打を84年ぶりに更新。シスラーの記録は1920年。「竹の里歌」発行から約20年後だ。子規は、日本人選手がベースボールの本場で大記録を打ち立てるなんて想像もしなかったのではないか。

▼イチロー選手の活躍から学ぶことは多い。まず、日本を飛び出して世界を相手にしている。世界に目を向け、グローバルな舞台に挑戦する。また、身体的に不利な点を技術で補っている。イチロー選手の身長は180センチ。巨漢揃いの米プロスポーツ界のなかでは、とりたてて大きいわけではない。ならば技術を磨く。その技術を武器に闘い、一流になる。

▼日本のパソコンが面白くない。国産メーカーは、かつては魅力的な製品をワールドワイドに提供していた。アメリカに進出し、市場シェアを競っていた。今はどうか。国内市場だけに目を向けているといったら言い過ぎか。今年の冬商戦向けモデルが出揃ったが、どれもAV(音響・映像)機能の強化を謳うばかり。違いがわからない。各社独自の技術があるはずだが、それが見えてこない。〝チャレンジ精神と独自技術〟で勝負する、そんなパソコンを待ち望むのは、北斗子だけではあるまい。