旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->87.秋の陸中海岸の旅-(1)龍泉洞・北山崎

2004/12/13 15:27

週刊BCN 2004年12月13日vol.1068掲載

 2004年11月の月初、陸中海岸ツアーに参加した。私にとっては珍しく小雨混じりの強風が続く悪条件下であったが、今まで知らなかった変化に富んだ陸中海岸の多くの魅力的な景観に感動した。

 岩手県は四国4県に相当する広さがあるが、北上川以東は山地が深く交通不便で、未開発の自然が多く残っている。白樺や唐松が多く、独特の南部赤松の林も多い。そして松茸日本一の産地でもある。

 盛岡から早坂高原に向かう。この辺りは紅葉が少ないが、唐松の黄色と白樺の白、松の緑が織りなす美しい景観が延々と続き、やがて龍泉洞に着く。ここは秋芳洞や高知県の龍河洞と共に三大鍾乳洞といわれ、湧き出る清水が深い地底湖を作っている。第3、第4の地底湖は98メートル、120メートルあり、神秘的なドラゴンブルーと世界第2の透明度を誇っている。

 流れ出る清水川の対岸の別洞には多数の土器・石器と共に、見事な動物の壁画が幾つも残っている。田野畑村鳥越港に着き、風雨の中を観光船に乗り、北山崎までの海岸美を海上から眺めた。荒々しい断崖や岩礁・洞門などを間近から観たが、激しい荒波に船が大きく揺れて、生きた心地がしなかった。

 翌朝、北山崎の展望台から「海のアルプス」といわれる高さ200メートルもの断崖が続く景観を心ゆくまで眺望した。

 陸中海岸は北は岩手県久慈市から南は宮城県気仙沼市まで、南北180キロに及ぶ長大な海岸国立公園であり、北部は隆起性海岸で荒削りの豪快な断崖が続き、南部は沈降性のリアス式海岸で、入り組んだ入江や湾と小島・半島などの複雑な海岸線が続いている。そこは海と陸地との気の遠くなるような長いせめぎ合いの歴史を物語っている。
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