深夜の車窓 寝台列車再考

<深夜の車窓 寝台列車再考>4.厳寒の青森駅

2005/02/28 15:26

週刊BCN 2005年02月28日vol.1078掲載

 青森駅、2月、午前0時。これだけ揃えば「寒い」といちいち書かなくても、寒さが伝わるだろう。その青森駅を0時11分に発車する「北斗星2号」に乗り上野を目指す。

 毎日2往復運転される上野-札幌間の寝台特急「北斗星」のうち、青森駅に発着するのは札幌駅17時12分発の「北斗星2号」だけである。上り4号、下りは1号、3号とも青森駅では「客扱い」をしない。「客扱いをしない」とはサービスが悪いということではなく、乗客が乗り降りできないということ。実は全ての「北斗星」が青森駅で機関車の付け替えのために運転停車をする。

 「北斗星」は青函トンネルが開通して誕生した列車だ。私は運転開始からほどなく、深夜の花巻駅から札幌駅まで利用したことがある。今回も深夜に青森駅からの乗車。残念だが今まで「北斗星」に“完乗”したことがない。

 乗り込んだのは1人用のAロイヤル2室とBソロ10室がある9号車。Bソロの寝台料金は6300円だが、Aロイヤルは1万7180円で3倍近い開きがある。しかし、Aロイヤルならばシャワー、トイレ完備のうえに食事や飲み物、新聞などのルームサービスが受けられる。もちろん特急券や乗車券も合わせれば、青森からでも3万円はオーバーする。贅沢である。

 それで同じ車両のBソロで我慢することにした。夜中に途中駅から乗車するので、ゆっくり眠れればAもBもないだろう。

 午前0時に青森駅3番線に立つ。幸いなことに風雪は強くないが、寒さがしみる。北海道から津軽海峡線(青函トンネル)、津軽線を走破してきた交流電機ED79の正面は吹きつけられた雪で覆われている。すでに眠りについた乗客に遠慮して、静かに個室にもぐりこむ。やがて機関車をEF81に付け替え、青森駅を発車する。(今賀 至)
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