東京と大阪を結ぶ大動脈と言えば東海道新幹線である。ビジネスでも旅行でも、東京-新大阪約2時間30分の「のぞみ」を利用すれば便利だ。その東海道ルートを、深夜ひっそりと1往復だけ運転されているのが寝台急行「銀河」だ。

 「銀河」が走り始めたのは1949年というから古い。当初は東京-神戸間を走る1等車まで備えた寝台急行だった。内田百閒の「春光山陽特別阿呆列車」にも、筝曲家の宮城検校(道雄)が、天の川をあしらったテールマークに灯りがともって美しいと語る話が出てくる。盲目の宮城道雄が、同行者からそれを教えてもらい、そういう列車に乗って気分が良かったという挿話である。

 その当時から現在まで、「銀河」は一貫して急行列車のままである。高速道路を走る深夜高速バスに対抗するためには、安い急行料金を保つしかないためだろう。

 「銀河」の下り東京発は23時00分、上りの大阪発は22時22分。上りの東京着は翌朝6時42分、下りの大阪着は同じく7時18分であり、ともに始発の「のぞみ」に乗るより東京、大阪に早く着くのがミソだ。しかも、東京駅、大阪駅ともに発車時刻が覚えやすい。早朝からの会議に間に合わせたいというニーズより、もう少し同僚と飲んでいたいから、という利用者も多いのではとも思う。

 急行列車なので設備の格は落ちる。個室寝台はなく、上下2段式のA寝台も開放式とかプルマン型と呼ばれる通路を挟んで左右にベッドがあるタイプ。22時22分に、帰路を急ぐサラリーマンの多い大阪駅を発つ。京都を過ぎても、喫煙室でくつろぐ人が。その中の1人、大阪出張帰りの宅配便大手の課長は、「銀河は時々使っている。朝そのまま出社できる便利さもあるし、大阪での時間を有効に活用できるメリットもある」と遅い夕食を摂りながら話してくれた。(今賀 至)