米国には日本のような戸籍というシステムはない。だから社会で何をするにも自分を戸籍で証明する必要はない。いや、戸籍を証明する手段が提供されていない。

 しかし、個人情報は国のレベルではないが、民間のレベルで管理している。いろいろな種類の個人情報があるが、今回は個人の金銭に関連した信用についての情報について述べてみたい。この情報をクレジットレコードという。

 米国では3つの民間企業がこの情報を管理している。そしてこの会社に連絡して費用を払えば、その人物がどのようなものを買って、支払いを行っているか、滞納はないかといった履歴を簡単に調査することができるのだ。

 例えば、車をローンで買おうとした時、販売店側はクレジットレポートを調べる。そしてその人の成績が良ければ一生懸命になって売ろうとするし、金利だって安くしてしまう。だから、自分の情報が漏れて自分のクレジットレコードが悪くなると、お金も借りられない。これが米国社会。差別とはいえないが、クレジットレコードで完全な区分システムが完成している。

 最近はインターネットでも自分のクレジットレコードを見ることができる。価格は20-30ドルといったところだ。自分でも調べることはできる。

 米国で生活する上でこのクレジットレコードは思いの外大切だということが、日本から米国に渡って仕事をする人なら分かるはずだ。米国では現金を持つことよりも、カードを持つ、クレジットを持つことの方が大切なのだ。クレジットレコードを持たない人はクレジットカードを作れない。車をローンで買えない。いろいろなデメリットがあるのだ。だから、日本から米国に来て最初に苦労するのはクレジットカードの作成だ。

 戸籍のない社会では、クレジットを持つか持たないかが、市民権を持つに等しい重要性を持つことなのである。これは日本人にはわかりにくいかもしれない。(米シアトル発:パシフィックソフトウェア パブリッシング 内倉憲一)