北斗七星

北斗七星 2005年4月4日付 Vol.1083

2005/04/04 15:38

週刊BCN 2005年04月04日vol.1083掲載

▼蒸気機関車と顕微鏡は1851年のロンドン万博。1876年のフィラデルフィア万博ではベルの電話機とエジソンの電信機。エジソンは1878年と89年のパリ万博でも蓄音機と電灯を出展。国際博覧会(万博)は、その時々の最先端の技術を披露する場でもあった。1904年のセントルイス万博では自動車と飛行機が登場。万博の歩みは、社会の工業化・近代化と軌を一にしていた。

▼2005年日本国際博覧会(愛知万博)が開幕した。愛称は「愛・地球博」。テーマは「自然の叡智」。人間と自然がいかに共生していくかを考える、いわゆる〝環境万博〟だ。会場では、環境に配慮したさまざまな工夫がなされている。生ゴミから発生する水素を利用した燃料電池や太陽光発電などもその1つ。これらを見学するエコツアーもある。テクノロジーの偉大さをアピールしてきたこれまでの万博とは、ひと味違うようだ。

▼1970年の大阪万博。約6500万人が訪れた。日本の高度成長時代がもたらしたイベントに、多くの人が足を運んだ。太陽の塔を見上げて息をのみ、米国館の月の石を見るために何時間も並んだ。各国の多彩なパビリオンに興奮したのを今でも思い出す。あれから35年。今は地球環境の大切さが叫ばれる時代。愛知万博のテーマ館「グローバル・ハウス」では、絶滅したマンモスの頭部が一般公開される。シベリアの永久凍土から見つかったものだ。約1万8000年前の雄のマンモスは、ガラスの向こうから、「自然の叡智」の大切さを訴えているに違いない。
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