▼岐阜の市電が廃線になった。さびしいなー。がたがた音をたてながら、車両を左右に揺らしながら、市電は一生懸命、走る。その一生懸命さとノンビリさに人恋しくもなる。岐阜の田舎から東京に出て来たのは34年前だ。大塚に来て、都電を見た時。東京にも市電が走っているんだ、岐阜と同じだ、ここはいい街だ、などと、意味不明な納得をして、この地に居着いた。そして24年前、週刊BCNをこの地で創刊した。

▼お彼岸に郷里に帰った。がたがたと市電が走っている。岐阜の風景だ。その電車を取り囲んで、カメラを持った写真家が大勢いる。ずいぶんな人手だ。岐阜の街も活気があるな。いいことだ、そうか、名古屋景気の影響かな、と勝手に思っていたら、「3月末で廃線」という。突然、市電の思い出が噴出する。車窓から岐阜城のある美しい金華山とゆったり流れる長良川を見て感動して絵を描いた日のこと。雨の日に自転車のタイヤをレールの上で滑らして、転倒した痛い思い出。さびしいな。不採算事業は撤収。時代は変化する。と言い聞かせる。(本郷発・笠間 直)