3月31日、米コロラド州デンバーの裁判所に中規模のソフトウェア会社が会社更生法の適用を申請した。

 現時点で350社のクライアントを持ち、25人の社員で運営する。会社更生法の適用を受けながらも、この会社の運営は継続される。会社自体はサイトを見る限りどうみても中堅のインターネットマーケティング会社だ。

 ビジネス自体は黒字で経営されているこの会社がなぜ会社更生法の適用を受けることになってしまったのか。そして、それほど規模が大きくないこの会社が米国中のメディアに取り上げられている。

 この会社の創立者はスコット・リヒターという人物で、別名スパムキングと呼ばれている。インターネットユーザーのメールボックスに届く、不要なメール(スパムメール)を広告媒体として使用している会社なのである。

 そして会社更生法の適用を申請した理由は、MSNを中心としたメールボックスを提供する企業が告訴した結果、その弁護費を含む裁判費用が高くなり、支払い能力がなくなったためである。

 この企業のビジネスが違法か合法かの判決は現時点では出ていない。しかし米マスコミの間では、ネットサービスを運営する複数の企業が、自社の経済力を使って他社を倒産に直接的に追いやったのではないかとの議論が行われている。

 日本では4月1日から個人情報保護法が完全施行された。メールアドレスが個人情報となるのか、そのメール情報を売買することは違法なのか、そのメールアドレスにメールを配信することは違法になるのか。これから多くの議論がなされることだろう。

 しかし米国では、法律ではなく、経済力で会社を倒産に追いやるようなことが行われている。これがスパムメールの企業でなければ、言うまでもなく独占禁止法違反でたたかれることは言うまでもない。しかし、今回に限っては誰も文句は言わない。すこし怖いような気がしませんか。(米シアトル発:パシフィックソフトウェア パブリッシング 内倉憲一)