北斗七星

北斗七星 2005年4月25日付 Vol.1086

2005/04/25 15:38

週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載

▼この2か月間、どうなることかと注目していたライブドアとフジサンケイグループの戦いは、和解という半ばあっけない幕切れとなった。スピード経営が求められる時代に、ともに長期化、泥沼化して行きつつあったニッポン放送を巡る争いに終止符を打ちたかったとも見える。フジテレビはフジサンケイグループの中核メディアの1つであるニッポン放送を完全子会社化することで死守し、ライブドアはあっさりと買収した株をフジテレビに売却。大方の見方は、「結局カネか…」といったところではないだろうか。

▼ライブドアの堀江貴文社長が訴え続けた、「インターネットと放送の融合」という姿に期待したのが半分、有数のメディアグループの一角に食い込み、支配も狙うという行動に野次馬的な面白さを持っていたのが半分。いずれにせよ約1470億円ものカネを積んだ和解で、そうした期待も吹っ飛んだ。インターネットと放送の融合は今後、両社で検討を継続するとか。しかし、トップ同士の笑顔の握手を見れば、多くは期待できまい。

▼毎週末、中国各地で繰り広げられる日本に対する抗議デモを見ていると、こちらの和解は遠いだろうと思わざるを得ない。在外公館への破壊行為という暴力に対しても、中国政府は「謝罪するのは日本が先」と譲らない。普通に考えれば、とんでもない非常識な行為だろう。中国の民衆をデモに駆り立てたのは愛国心かもしれないが、参加を呼びかけたのはインターネットだ。自由を享受できない国で、その影響力は放送以上のように思えてくる。
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