▼「ITにはほとんど関心がない」──と評される小泉首相が率いる自民党が、郵政選挙で歴史的大勝を収めた。すでに任期延長との声も出ているが、来年9月までの自民党総裁任期までは小泉体制が続くことになり、e─Japan戦略を2006年から引き継ぐ次期IT国家戦略も〝小泉IT戦略本部長〟のもと策定されることになった。次期戦略の実効性を高めるためにも、首相にはもう少しITへの関心を持ってもらう必要がある。

▼確かに〝判りやすさ〟を求める小泉首相にとって、e─Japan戦略に関心がなかったのも無理はない。「改革を止めるな」と今回の選挙でも訴えた小泉構造改革に、e─Japan戦略が具体的にどのような役割を果たすのかが判りにくかったからである。戦略Ⅱの先導的7分野の最初にも〝医療〟が登場してくるが、医療制度改革の本丸である医療費抑制にどう貢献するかは何も書かれていない。回転寿司の皿にICタグを埋め込んで首相を喜ばせるぐらいでは期待薄だ。

▼自民党大勝を国民が改革を強く望んでいることの証左と受け止めるなら、次期IT国家戦略には構造改革にどう貢献するのかをできるだけ具体的に書き込むことである。しかし、その作業を官僚に任せれば骨抜きも危惧される。選挙で大幅に若返った自民党などの国会議員とも緊密に連携しながら、民間主導でビジョンを描くことが不可欠ではないだろうか。首相ですら関心を示さないような次期IT国家戦略に、国民の関心が集まるはずはないのだから。