▼「個人情報保護法」が鳴り物入りで施行されてから1年が経過した。法律ができたからといって、事件・事故はなくならないのが世の習い。相変わらず〝漏えい事件〟がニュースを賑わしているが、ここで別の観点から個人情報の保護について考えてみたい。

▼新しい法律や制度には、少し過剰気味な反応を示す国民性も手伝い、個人情報を腫れ物にさわるような感じで扱っている役所や企業の姿に違和感を覚えるのは私だけではあるまい。過日、身内が入院した時、「病室の入り口に患者さんの名札を出すかどうか決めてほしい」と病院に訊かれて、きょとんとしてしまった。言われてみれば、患者の氏名も個人情報だが、そこまでナーバスにならなくてもと思った。あるチェーン店から「今後、DMチラシは各店舗からは送りません。本部がインターネットで皆様に情報をお知らせします」という告知が届いた。顧客情報の保管場所が分散するほど漏えいの危険性が高くなるのは必然で、チェーン本部がとった施策は誤りではない。とはいえ、自宅近くの店がちょっと遠くなった気がしたものだ。

▼このように企業が神経質になっているにもかかわらず、漏えい事件は後を絶たない。皮肉な見方をすれば、保護法ができたことによって個人情報の価値が再認識され、犯罪のターゲットになっているともいえる。名簿に値段がつくからこそ、漏えい事件が起きるのだが、その名簿の質によって買い取り価格が異なるそうだ。もし、自分の情報が盗まれたら、どのくらいの値がつくのか。気になるところではある。