北斗七星

北斗七星 2006年5月29日付 Vol.1139

2006/05/29 15:38

週刊BCN 2006年05月29日vol.1139掲載

▼「セキュアな○○」という言葉をよく見聞きするようになった。ITを軸とするネットワーク社会が必然的に生み出した言葉といっていいだろう。水と安全は、かつての日本では「タダ(無料)」の代名詞のようなものだった。しかしその両方ともが、いまや大いに価値あるものとして認識されるようになった。

▼企業を襲うリスクは多様化し、深刻化の度合いを増す一方だ。かつては考えられなかったことが自社を破綻に導く引き金になる。例えば、連鎖倒産。従来なら、得意先の破綻で売掛金が回収できず、手形の不渡りを出すというのが典型的なパターンだったが、最近は仕入先の破綻に連鎖して倒産するケースが見られるようになってきた。商材の調達ルートが絶たれれば、今のような信用収縮時代、仕入れができずに息絶えてしまうという構図だ。

▼リスク管理のなかでも、重要度が高く、しかもコントロールが難しいのは、「情報の管理」だろう。根本的な問題は、情報管理が〝日本的経営〟の風土にマッチしにくいという点にある。「社員は会社を害する行為をしない」という性善説に立つのが日本企業の典型的なマネジメント手法。情報管理はこれとは対極の性悪説にのっとらなければ、効果を発揮しない。このギャップが時として会社と社員の間に軋轢を生み出す。行き過ぎた管理が社員の士気を削ぐこともあるだろう。だが救いは、今は過渡期にあることだ。社員教育が行き届き、情報の扱いにコンセンサスが形成されれば、軋轢も解消されるものと信じる。
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