▼“恐竜の尻尾(ロングテール)”が話題を呼んでいる。ネット販売でみられるロングテール現象というのは、従来のマーケティングの常識を根底から覆すほどの力をもっている。販売戦略を立てる際には、ABC分析に頼るというのが、これまでの常識だった。2割の商品が全売上高の8割を占めるというのなら、その上位2割の商品に重点をおいて販促策を打つのが常道だというのは、かなりの説得力をもつ。

▼一方、“死に筋商品”をあぶり出して、店頭からはずしたり生産を縮小するのは当然の策とされてきた。その強い味方となったのがITだ。通信回線を通じてPOSデータが集まるようになって以来、売れ筋・死に筋の発掘作業は飛躍的に迅速になり正確性を備えてきた。営業現場や仕入れの担当者が培ってきた「目利き」よりも「冷徹な数字」が幅を利かすようになってきたのだ。ところが、皮肉なことに、ネット社会では長く伸びた恐竜の尻尾、つまりリアル店舗で死に筋とみられた商品群が儲けの源泉になっていることが明らかになった。

▼いま、データ重視の商品化政策に揺り戻し現象が起きている。目まぐるしく変わるコンビニ店頭の商品。自分の好みのスナック菓子が店頭から消えることを知った消費者の一人がブログでそのことを呼びかけたところ、爆発的に売れ出した。メーカーは結局、生産を継続したというのだ。買い手が作り手や売り手を動かすのもITの発達がなせる業。Web2.0は、このような世界を表しているとも思える。