北斗七星

北斗七星 2006年9月18日付 Vol.1154

2006/09/18 15:38

週刊BCN 2006年09月18日vol.1154掲載

▼経済産業省の特定サービス産業実態調査(特サビ)によると、2005年度の情報サービス産業は約6900事業所で売上高が前年度比0.2%増の15兆4556億円、従業員数は0.7%増の57万3700人だったという。事業所数は9年連続で減少、売上高は11年連続で増加、従業員数は人手不足を背景として2年ぶりに増加に転じた。

▼一方、この業界の株式公開企業はどうかというと、今年3月末決算の連結売上高合計は335社で前年度比2.7%増の9兆2500億円だ。特サビの事業所数と単純に比べると335社は5%に満たないが、連結対象の子会社を加えると7000社を上回る。つまり事業所数は両者ほぼ同数なのだ。売上高は15兆円と9兆円、伸び率は0.7%と2.7%と両者の数字には大きな開きがある。興味深いのは、主要な取引先としてあげられる「同業他社」のウエートだ。特サビによると同業者間取引は13.6%、一方、株式公開企業の外注率は32.6%。ここでも数字が大きく違う。これは何を意味しているのだろう。

▼受託開発系ソフト産業では多重受発注が恒常化し、法に抵触することが少なくない。図らずも業績調査でそのことが裏付けられたかたちだが、この業界における「外注」「再委託」「派遣」が人(技術者)に帰属する技術を提供するために避けて通れない。だからこそ多重構造の実態を正確に把握し、技術評価の手法に取り組むべきだ。「15兆円産業」と浮かれていては、将来のあるべき姿は描けない。
  • 1