北斗七星

北斗七星 2006年11月20日付 Vol.1163

2006/11/20 15:38

週刊BCN 2006年11月20日vol.1163掲載

▼ある営業関係の雑誌を読んでいたら、「私もおちこぼれ営業だった!」という記事タイトルが目に飛び込んできた。大学卒業後、コピー機大手に入社した一人の低実績営業マンが、ナンバーワンに登りつめるプロセスを体験談として語っている内容だ。

▼「営業の鉄則は、自分を売り込むこと」。その営業マンは新人の頃、鉄則を忠実に守った。ただし、勘違いしたままの鉄則だったが…。訪問先では部屋中に響きわたるほどの大声で挨拶、相手から「元気がいい」と評価される。そこまではよかった。自分をアピールできたものの、本当に売り込むべき商品知識もなければ、相手のニーズをつかんでもいない。次第に「大声のうっとうしいヤツ」と敬遠されていくことになってしまう。

▼低空飛行を続ける彼が触発されて上昇し始めるのは、同期のトップ営業マンの「営業はプロセスを予測するゲームだ」という言葉を聞いたのがきっかけだった。他社の営業マンは、おそらくこんな手で攻めてくるという予測を立て、それを撃破する策を講じたうえで商談に臨むというわけだ。さらには、「お客様の職場環境を変えたい!」という思いが成果につながった。まだソリューション営業という言葉がなかった時代に、彼は期せずしてそれを実行したのだ。

▼商談のアプローチは、ITの活用で効率的にできるようになった。しかし、説明・説得を要するデモンストレーションやクロージングの段階では、営業マンの力が大きくモノをいうことを改めて認識させられた。
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