旅の蜃気楼

東京タワーに思いを馳せる

2006/11/20 15:38

週刊BCN 2006年11月20日vol.1163掲載

【本郷発】不思議な縁で、日本情報処理開発協会編『情報化白書2006』をBCNで刊行することになった。この号は奇しくも創刊40年記念号となる。協会は東京タワーの向かいにある。さっそく訪ねた。夜の東京タワーはライティングされていて美しい。中ほどの電光掲示板には、2016年の文字が光っている。オリンピックを東京で開催しよう、というシュプレヒコールだ。2008年には北京オリンピック、2012年にはロンドンオリンピック。東京はその次だ。10年先の話である。気が早いが、東京オリンピックの年に、今の東京タワーはどんな役割を担っているのだろうか。というのも、2011年7月24日には地上アナログ放送が終了するからだ。それに代わって新しい地上デジタル放送の電波を発信する電波塔の役割は東京タワーではない。墨田区に2011年に完成する新東京タワー(仮称、すみだタワー)が役割を担うことになっている。新しくできる電波塔は、高さが610メートル。完成した時も世界一だろうか。

▼墨田といえば、毎年5月の三社祭の宮出しは必ず見に行くことにしている。神輿は明け方、浅草神社の境内から氏子町内に向けて、威勢よく担ぎ出される。けんかもありだ。祭りが盛り上がってきた頃、少し歩いて、すみだタワーに登る。中間の300メートル当たりの展望室から双眼鏡を使って、神輿で賑わう浅草界隈を一望する。飛行機に乗って遊覧する気分なのだろうか。とにかく楽しみだ。2011年はそんなに遠くない。デジタル放送が映らない地上アナログ放送の機器を持っている人は、そのとき何人いるのだろうか。

▼東京タワーの対面に機械振興会館がある。財団法人日本情報処理開発協会はそのビルの中にある。JIPDECといって、プライバシーマークや情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO27001(ISMS)を管轄している協会だ。JIPDECはわが国の情報処理基盤の普及をユーザーの視点でけん引してきた。『情報化白書』はわが国の情報化の歴史そのものを記している。創刊40年を記念して講演会を11月20日、開催する。「情報化の未来を創る」がテーマだ。冒頭の「不思議な縁」についてはいずれ記します。(BCN社長・奥田喜久男)
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