旅の蜃気楼

中国から“近くて遠い”マカオ

2007/11/19 15:38

週刊BCN 2007年11月19日vol.1212掲載

【マカオ発】香港を訪れたついでに、マカオに足を踏み入れることになった。「特別行政区」として位置づけられる都市は香港と同様の趣を呈している。

▼まずは、マカオに行く際の手続き。香港と同じ中国であるにもかかわらずパスポートが必要となる。香港からでも出国審査を通らなければならない。中国本土と、香港やマカオの経済格差が大きいためだとか。国境検問所をなくせば、本土民がどっと押し寄せて収拾がつかなくなる恐れがあるのだろう。行列する人たちのパスポートを見ると、日本や韓国などアジア系、欧米系とさまざま。私の前に並んでいたのはアイルランド人で両親と子供3人の5人家族だった。一番下は小学校にあがったばかりのようで、「早くマカオに行きたい」と、目を輝かせていた。しかし、この年齢でマカオか?

▼フェリーで1時間程度揺られてマカオへ。数年前からカジノがオープンし、「東洋のラスベガス」などといったキャッチフレーズを聞いていただけに「中心部はギャンブル一色なのではないか」と思っていた。もちろんカジノを営む店やホテルも多かったが、米国を真似たスタンディングバーが軒を連ねる通りや、中国食堂の料理店なども店を構える。ほかにも、観光スポットとして「聖ポール天主堂跡」や「聖ドミニコ教会」などもあり、西欧の文化が入り交じっている。

▼マカオ特別行政区政府が発表した統計によれば、今年1-8月の8か月間で、マカオへの観光客数は昨年同期比21.8%増の1723万人に達したという。9月の観光客数も220万人を超え、勢いは衰えていない。

▼香港とマカオという二大観光地を持つ中国。観光資源でも世界を席巻している。自治区や特別行政区が発展しているのだから、本土は一段と急速な進化を遂げているのだろう。本土には7年前に一度訪れたきり。「その進化ぶりを肌で感じたい」という気持ちが高まった。(週刊BCN編集部 佐相彰彦)

 アイルランド人の子供は、マカオで一勝負するのかしら?佐相記者の中国本土訪問は7年前というが、アジアを中心に海外取材が多い。言語が達者だからなのだろう。いいことだ。(BCN社長 奥田喜久男)
  • 1