立ち話

内田洋行 向井眞一社長

2007/12/17 19:47

週刊BCN 2007年12月17日vol.1216掲載

 内田洋行はオフィス家具とIT、文教の3つの柱を持つ。業界に先駆けてユビキタスコンピューティングを掲げ、職場や教室をまるごとユビキタス環境へ変えるビジネスを推進。ユビキタス化では強みのITを存分に活用。オフィス家具や文教向け商材を持たないSIerが逆立ちしてもできないユニークな商材を生み出してきた。

 ところが、こうした取り組みが業績に結びついていない。向井眞一社長は、「いつまでも絵に描いた餅ではだめで、ほんとうの餅をつくる」と、思い描くビジネスモデルの具現化に力を入れる。社内には100人規模のR&D人員を抱え、ユビキタスのデザイン設計やITアーキテクチャなどを日夜研究。年商1500億円規模のベンダーでは異例の大所帯だ。年間の研究開発費はおよそ30億円にのぼる。

 研究開発の成果をいかにビジネスに結びつけるか、「誰よりも気をもんでいる」(向井社長)ものの、なるべく表に出さないように心がけている。目先の利益ばかり追求していると長期的な成長がおろそかになるからだ。2010年に創業100周年を迎える。堅牢なビジネスモデルを築き上げてきたことが長寿企業の秘訣。次の100年を見据えて、「何が必要で、何が要らないのか」。焦る気持ちを抑え、腰を据えた改革を実践する。
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