▼eメール全盛の時代とはいっても、年賀状には独特の趣がある。元旦、皆さんのお手元にはどのくらいの枚数が届きましたか。「おお、あいつは元気でやっているようだ」とか、「孫が誕生したのか」などと、めったに会えない知人の消息を知るのも年賀状ならではの効用だ。

▼もらうのは嬉しいが、宛名書きはちょっと苦痛。昨年末、フロッピーディスクに入れておいた宛名データが読み込めなくなって、慌てた。ワープロ時代の遺産なのだが、ずぼらをしてパソコンにデータを移しておかなかった報いがきたのだ。腰が痛い、指が痛いと唸りつつ、200通あまりの宛名を丸々1日を費やして手書きした。

▼わが家を見回してみると、フロッピーディスクに代表されるような遺産がたくさん転がっている。LPレコードをはじめ、カセットテープ、ビデオテープ、ミニディスク、銀塩カメラで写したネガの束…。対応するハードウェアの消滅とともに役に立たなくなってしまうソフトのオンパレードだ。でも、なかなか捨てられない。困ったものだ。

▼家電・音響機器やIT機器の進化のスピードは凄まじい。かつて携帯プレーヤーの代名詞はテープのウォークマンだった。それが、CDやMDに取って代わられ、今やiPodが王座に君臨している。新しい製品が登場するたびに品質が向上していくのは喜ばしい。だが一方で、アナログ時代の遺産には捨てがたい〝何か〟が詰まっている。こうした遺産を再生できるハードも残してほしいと思う。