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リコーの北米ディーラー争奪戦

2008/01/21 15:37

週刊BCN 2008年01月21日vol.1219掲載

 昨年4月、リコー本社に衝撃が走った。競合する米ゼロックスが事務機ディーラー大手の米グローバル・イメージング・システムズ(GIS)を約1900億円で買収したためだ。リコーは昨年1月、米IBMのプリンタ事業部と共同出資会社を設立。高速プリンタ「プロダクション・プリンティング」などの販売で、GISなどを利用して新市場を切り開く計画をもっていた。

 近藤史朗社長は昨年末、本紙のインタビューに応じて、「確実に顧客へプリンタを届けるには、強力なディーラーが必要」と、販路の立て直しを重視する姿勢を示していた。世界では、ヒューレット・パッカード(HP)がプリンタ市場を席巻している。日本のプリンタ市場が縮小するなかで、HPなどと伍してリコーが世界展開することは、成長を持続するうえで重要。GISの買収は、世界的な販売体制の整備に暗雲が立ちこめた瞬間だったといわれている。

 世界市場で活躍するOKIデータの前野幹彦・前社長(現相談役)は、「グローバル・オペレーションの確立は必須」とみている。過渡期にある日本の大手メーカーは、現地製造工場などのトップに日本人を充てるといった具合で、「現地化」ができていないと指摘する。世界各地の利用環境やニーズを知り、開発・販売しなければ、国内プリンタベンダーの真の成長は見込めないのではなかろうか。(吾)
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