▼今夏も猛暑が続く。屋外での活動は熱中症が心配だ。この夏にお薦めしたいのは冷房のきいた館内ですごせる映画鑑賞。少年少女が殺人を犯す殺伐とした世の中にあって、宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」はそんな連鎖を断ち切る、胸に沁みる名作だ。宮崎監督も「神経症と不安の時代に立ち向かおうというもの」と、この映画を制作した背景をこう語る。

▼人魚の子供、ポニョが人間界の少年と交わる物語。アンデルセンの「人魚姫」から宗教色を払拭した子供向け作品という。背景にあるテーマは「親子愛」とみた。夏休み中に親子で鑑賞をして、しみじみ感じる「何か」について語り合う機会の場にしてみては如何だろうか。

▼少子高齢化が急速に進むなかで、国は企業に対し社員の仕事と子育ての両立を求め、支援策も講じている。国際的には、労働者の仕事と生活の「ワーク・ライフ・バランス」という考え方に関心が高まっている。仕事に熱中するあまりに家庭を顧みないことから引き起こされる社会問題に警鐘を鳴らしている。一連の無差別殺人は、「仕事優先」の家庭生活が歪みをもたらした結果といっても言い過ぎではないだろう。

▼「家庭を顧みず」──最近の悪労働環境を揶揄して「K」がたくさん付くIT業界のソフトウェア開発者などには耳障りな言葉であろう。企業の根幹を成すITシステムの開発だから、「急がば回れ」とは言えないが、今一度、「ワーク・ライフ・バランス」を考えてほしい。