旅の蜃気楼

♪この花なんの花 気になる花

2008/10/27 15:38

週刊BCN 2008年10月27日vol.1257掲載

【本郷発】♪この木なんの木 気になる木~。この歌が流れると、あの木の形が思い浮かぶ。こうもり傘を広げて柄を深く地面に差し込んだような大きな樹木だ。この木のおかげで日立のことは忘れない。サザエさんの東芝もそうだ。イメージと固有名詞が紐付けされていて、なんとも便利というか、刷り込みの威力はたいしたものだ。登山にめざめて久しいが、行くたびに山の名前が不確かで、地図を見ては、仲間と「ああでもない、こうでもない」と山の名前を言い張っては、気まずい思いをすることもある。結局、納得しないまま下山して、再び山に登っては、同じことを繰り返す。すっきりと、山の名前を言い当てる仲間は重宝がられている。

▼山に登る楽しみは頂上に立ったときの充実感だ。この「やった!」気分がなんともすばらしい。岩場で小さな花に出くわした時は、その花に愛おしさを感じる。山登りと花は実に相性がいい。満開のお花畑に出会ったときなどは、なにものにも替えがたい得をした気分になる。花にはそれぞれ名前がついている。ところが、花を見るたびに、名前なんだったっけ。昔もそのまた昔も、同じ質問をしている自分がいる。山の仲間にも特徴があって、山の名前に詳しい人、樹木に詳しい人、花の名前に詳しい人とそれぞれだ。どの名前も知らない人。私は最後の人だ。情けないが覚えられない。そこであのメロディが聴こえてくる。「♪この花なんの花 気になる花」。

▼『週刊BCN』の読者の皆様はIT専門家の方々が多い。そこでお願いがあります。花の写真をデジカメで写すと、「この花の名前は、○○です」と教えてくれる機能を開発していただきたい。この赤い花の名前は? ピンクのきれいな花の名前は?手書き文字の認識率の精度がとても高い技術を転用して、花のイメージ解析はできないでしょうか。花のアップ写真と、葉っぱの写真と、全体写真と、撮影月の情報で、せめて三択でもいいから名前を検索させてもらえるとありがたい。お花畑で楽しい会話で盛り上がるソフトが発売されれば、新規需要が見込めそうだ。名前の出力は、三択がお勧め。そのほうが話のタネになるからだ。(BCN社長・奥田喜久男)
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