秋口から景気後退が鮮明になり、IT業界にも「ユーザー企業のIT投資先送り・凍結が徐々に顕著になってきた」との声があちこちから聞こえるようになってきた。なかには、「不況から抜け出すには2~3年はかかるだろう。いや、もっとかかるかも」と口にするIT企業経営者すら出てきた。昨年秋に顕在化した米サブプライムローン問題がここまで大きくなり、これほど急激に日本のIT産業界に悪影響をもたらすとは一体誰が予測していたか……。「対岸の火事」的な感覚で米国経済をみていた夏までの平穏さから一転、IT業界の年越しは暗いものになりそうだ。

 BCNの各記者は今、新春号の制作でSIerを中心とする有力IT企業トップに取材して回っているところ。約60社の企業トップに今年の感触と来年の見通し・戦略について尋ねている最中だ。取材先では必ず、来年のキーワードを伺っている。詳細は新春号に掲載する予定だが、現時点で共通する言葉があるので、一足先にそれを紹介したい。


 「こんな時こそ原点に」。表現の仕方こそ異なるものの、「原点回帰」を示す意味の言葉を選ぶ経営者が圧倒的に多い。


 自分たちの存在価値と強みをもう一度見つめ直そう――。トップの意識が社内に浸透し、多くのIT企業では、こんな発言が交わされる機会が多くなっているに違いない。(鈎)