「優柔不断」とは、決断力に欠けることを指すマイナスイメージの言葉。では、「優柔決断」とは?

 名キャッチャーの名をほしいままにした古田敦也は、「ぼくが考える『優柔決断』は、柔軟に情報を収集したうえで、最終的にそれを活かした『決断』をしっかりするということ」と定義する。

 改めて言うまでもないが、キャッチャーというポジションは守備の要である。相手チームのバッター一人ひとりのクセはもとより、味方ピッチャーのコンディションなどさまざまな情報をインプットしておかなければならない。膨大な情報を取捨選択し、決断という最終ステップを踏んでピッチャーに指示を出す。こうした一連の流れのなかで、「優柔さ」が生きてくるというのである。

 「一つの情報を得て満足するのではなく、違う方法も試してみる、人のアドバイスも聞いてみるなど、何かに凝り固まらず、フレキシブルな情報収集のあり方」が大事というわけだ。師と仰ぐ野村克也監督に、「ほんとうのピンチになったときには、いろんな知識が役立つんだ。だから勉強しろ」とアドバイスされた。たくさんの引き出しがあれば、ピンチから脱出する最善の方法を見出すことができる。知識が少なければ、勘に頼るしかない。だから、知識=情報の量は大切だと──。

 人は誰しも、固定観念に囚われやすい。「優柔」な視点で見れば、行き詰まった場面でも、解決の糸口がみつかることをこの本は教えてくれる。(止水)

『「優柔決断」のすすめ』
古田敦也著 PHP新書(700円+税)