北斗七星

北斗七星 2009年12月14日付 Vol.1313

2009/12/17 15:38

週刊BCN 2009年12月14日vol.1313掲載

▼眼光が鋭い。この人物の前に立つと、潔白でありながら、何か不手際があるかもしれないとビクビクしてしまう。海外渡航時には必ず通る“関門”が出入国審査。ここに立つ目つきの鋭い番人が出入国審査官だ。

▼一度だけ、柔和な審査官に当たったことがある。米ラスベガスでの出来事。渡航目的を聞かれたあと「今日は財布にいくら入っている?」と質問された。正直に「500ドル」と返答したら、ぷりぷりした様子の言葉で「それじゃ足りないよ!」。その理由は、カジノで遊ぶには…ということだった。世界最大のカジノが立ち並ぶ土地柄だからこその話だろう。

▼出入国審査では、先頭に不慣れな旅行客がいると、列が大渋滞する。こんな状況を解消するために、日本の国際空港では2007年11月、外国人を対象にデータベースと指紋照合するシステムを導入し、審査を簡略化した。ところが、この最先端技術にも落とし穴が…。指紋認証を通り抜けるために指を手術した中国人が逮捕される事件が起きたのには驚いた。

▼日本ではパスポート取得時に指紋を登録すると、空港では審査官の前を通らずに、OKI(沖電気工業)製の指紋認証ゲートをくぐるだけで済む。だが、指紋はセキュリティ認証として当初から疑問視されていた。指自体を変えたり、他人の指紋をテープで貼ったりするなどの抜け道があるからだ。現在、審査時には審査官が指紋を目視しているというが、次なる認証方法を探る必要に迫られている。
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