アメリカに「ニワトリとブタ」の寓話がある。あるとき、ニワトリがブタに「一緒にレストランを開こう」と誘った。「メニューは?」とブタが聞くと、ニワトリは「ベーコンエッグ」と答える。ブタはしばらく考え、誘いを断る。「キミは卵を産むだけでいいが、ボクは命がけだ」──営業マンにもニワトリ型とブタ型がいる。顧客のことをどこか「他人事」として片足を突っ込む程度か、顧客のことを「自分事」として全身でどっぷり浸かるか。本書はそんなニワトリ型営業マン、ブタ型営業マンの実像を多くのバイヤーたちの証言から浮かび上がらせた。(本書の後書きより抜粋)

 この本の特色は、企業のバイヤーに直接取材して、「望ましい営業マン」「敬遠する営業マン」を購買のプロの目で峻別している点にある。取材対象としたのは、IT企業、自動車メーカー、住宅メーカー、総合商社、コンビニチェーン、百貨店など多様な業種のおよそ40人。彼らが日常で実際に接している売り込み側の営業マンの言動をベースにしての評価なので、リアルに伝わってくる。

 例えば、「トラブったとき、先方の上司が途中から『おれの顔に免じて』的に出てきた瞬間、営業担当者に対する信頼は薄まります。上司が出てくると、担当同士で信頼関係をつくるチャンスが失われる。だから上司の中に逃げないでほしい」(外資系IT企業のバイヤー)といった営業マン評がちりばめられている。新人から中堅・ベテランまで、すべての営業マンに役立つ実務書である。(仁多)

『選ばれる営業、捨てられる営業』
勝見 明 著 日本経済新聞社 刊(850円+税)