「自分が否定されたくないから、反対意見を言ったら相手も同じ拒絶反応をするだろうと思う。相手を傷つけないために、当たり障りのない『だよね』会話のゆるいつきあいしかできない」。本書は、大人世代は近頃の若者たちとどう接するべきかを説いている。

 この頃の若手はミスを注意するとすぐに言い訳をしたり、ふて腐れた態度をとったりするから扱いにくくて困る。うっかり叱ると勝気なヤツは反発するし、弱気なヤツはあり得ないくらいに落ち込むし、どうにも扱いにくい。──これらは、人間関係力や精神力の筋トレができていない若者が多いからだと著者はみている。異性の自宅に電話するとき、「お父さんが電話口に出てきたらどうしよう」とドキドキしたり、そんな場合にとっさの対応をしたりという訓練の場を携帯電話やメールが奪ってしまったことも要因の一つ。

 最近深刻になっているのは、「新型うつ」と呼ばれる症状だ。仕事以外の場面では元気なのに、出社恐怖症とでもいうのか、医師の診断書を提出して休職する若手社員がけっこういるそうだ。うつ病には内因性うつ病と新型うつ病があって、困ったことに新型の場合は薬が効かないといわれている。では、どう対処すべきか。処方箋の一つは「会社や部署の基準を明確にすること」。会社として社員全員にこういう基準を要求していることを示せば、個人を攻撃しているのではないことがわかるというのだ。管理職クラスの人にお勧めしたい本である。(仁多)


『「ゆるく生きたい」若者たち 彼らはなぜ本気になれないのか?』
榎本博明/立花薫 著
廣済堂出版 刊(800円+税)