今日のひとことWeb版

ビッグデータの落とし穴

2013/12/19 15:26

 ビッグデータに落とし穴があるとすれば、ユーザーにその利便性をどう実感してもらうかという点です。今年6月、某ITベンダーが交通系ICカードの履歴情報を分析し、駅のエリアマーケティングに役立てると発表したとたん、ユーザーからの不満が噴出したのは記憶に新しいところ。

 このときは、「個人情報は確実に守られる」とユーザーに説明して、いったんは沈静化したのですが、「ことの本質は、ユーザーがメリットを実感できなかったことにある」(あるITベンダー幹部)という指摘もあります。

 エリアマーケティングの精度向上で、よりよいサービスを享受できるようになるのは、間違いなくユーザーのメリットなのですが、おそらくユーザーはもっと直接的なメリットを求めているのでしょう。わかりやすくいえば、GoogleやFacebook、Twitterのように、本来であればとても無料で使えるようなサービスではないにもかかわらず、ユーザーはさまざまなデータと引き替えに直接的な利便性を享受しています。

 間接的な分かりにくいメリットでは、ユーザーはもはや納得しない――。いま、まさにプロジェクトが始まろうとしている社会保障・税番号制度は、将来はビッグデータへの応用が期待されています。しかし、ユーザーにわかりやすく、直接的なメリットを提供できなければ、かつての住基ネットの轍を踏むことになりかねません。(安藤章司)

【ビッグデータ関連記事はこちら】
<最先端IT国家への道標 霞が関の動きから探るビジネスヒント>7.ビッグデータ(1)
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.12.19」より
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外部リンク

<最先端IT国家への道標 霞が関の動きから探るビジネスヒント>8.ビッグデータ(2)

<最先端IT国家への道標 霞が関の動きから探るビジネスヒント>9.ビッグデータ(3)

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