BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ソフィアンの心に灯したい101の言葉』

2014/02/20 15:27

週刊BCN 2014年02月17日vol.1518掲載

先人たちの名言集

 2013年、上智大学(SOPHIA UNIVERSITY)の創立100周年を記念して上梓された先人たちの名言集である。

 頁を開くと、長々とした序文はなく、いきなり言葉が目に飛び込んでくる。最初を飾るのは、マザー・テレサの「その人と共にいてあげてください」。上智大学で行われたマザー・テレサの講演会の終わりに、一人の男子学生がこんな質問をした。「では、僕には何ができるでしょう、何をしたらいいですか」。彼女の答えはこうだった。「あなたの家族の一人ひとりを思い起こしてください。その中で、孤独を感じている人はいませんか。もしそんな人がいるとすれば、その人と共にいてあげてください。それが、あなたが第一にすべきことです」。

 「私たちも生まれたことに感謝して死ぬことができたら、最高ではないでしょうか」(日野原重明/聖路加病院理事長)。一読しただけでいわんとするところが伝わってくるような名言があるかと思えば、「そこのドラネコ、もうゼミには来なくてよろしい!」(霜山徳爾/文学部心理学科教授)のような、解説を読まなければ意味がわからない言葉もあったりして、けっこう楽しめる。「自然の法に基づいて考えると、いかなる国家も、その国家のために死んだ人びとに対して、敬意をはらう権利と義務があるといえる。それは戦勝国か敗戦国かを問わず、平等の真理でなければならない」――上智学院院長でもあったブルーノ・ビッテル神父の答申を尊重して、マッカーサー総司令官が靖国神社焼却を取りやめたという史実は興味深い。(仁多)


『ソフィアンの心に灯したい101の言葉』
上智大学ソフィア会 編
上智大学出版 刊 ぎょうせい 発売(1200円+税)
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