BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ベテラン営業マンの仕事術』

2014/07/31 15:27

週刊BCN 2014年07月28日vol.1540掲載

まだ引退するには早い

 「私は50万人以上の営業マンを研修してきた」と豪語する著者は、どうも第二次世界大戦後のベビーブーマー世代らしい。50代後半から60代前半といったところか。かつて凄腕の営業マンだった彼は、その実績をひっさげて人材教育コンサルタントになり、世界的な大企業をクライアントとして獲得しているようだ。そんな人物が、「まだ引退するには早いが、行き詰まりを感じているベテラン営業マンに向けて、自らの経験をもとにアドバイスする」というのが本書の趣旨である。

 物語は一本の電話から始まる。電話の主は著者の友人の現役営業マンで、たくさんの得意先を抱えていて稼ぎもよく、仕事にも私生活にも満足していた。そんな友人が、「こんなはずじゃなかった」とぼやき始めたのだ。話をよく聞いてみると、数か月前に新しく赴任してきた年下の上司が、「お前のやっていることは何から何まで間違っている」と言い始めたらしい。著者はコンサルタントとして友人の進むべき道の選択肢を提示したが、その友人が悩んでいたのは「自分が実際に時代遅れなのではないか」という不安だった。

 世代間のギャップは世界中のどこにも転がっている。年をとることを悟る瞬間はだれにも訪れる。だが、年齢を重ねるのは悪いことばかりではない。幸福感は人生を通じてU字形を描く、つまり中年層に必ず訪れる倦怠期は回復するというのだ。大きな救いである。

 ベテランの域に達した人たちへのよきアドバイザーになってくれる本である。(仁多)


『ベテラン営業マンの仕事術』
ステファン・シフマン 著
瀧下哉代 訳
アルファポリス 刊(1400円+税)
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