BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『元キーエンスのトップセールスが教える 誰でも売れる「プロセス思考」営業術』

2013/10/31 15:27

週刊BCN 2013年10月28日vol.1503掲載

法人営業の真髄を理解する

 センサメーカーのキーエンスは急成長企業としてよく知られているが、その成長の原動力となったのは、すぐれた営業の力である。著者は、厳しいことで評判のキーエンスの営業でトップの成績を上げてきた人物だ。自らの実践経験を携えて独立し、現在はコンサルティング会社の代表取締役を務めている。

 証券会社からキーエンスに転じた著者は、最初のうちは勝手がわからず、成績低迷にあえいでいた。もがきながらも、自らの営業のやり方を分析し、個人を対象とする営業(証券会社)と法人相手の営業(生産財などの販売)に大きな違いがあることに気づいた。

 例えば、「商品を売る前に自分自身を売り込め」「一回目の訪問は、世間話くらいにとどめておけ」というのは営業の常識とされるが、法人営業ではこの常識が通用しないどころか、逆効果になるというのだ。センサという部品をユーザー企業が購入するとき、「営業マンが気に入ったから」という理由で成約することなどあり得ない。自分を売り込めとばかりに何度も訪問すれば、顧客に迷惑がられるだけ。

 したがって、初対面が最も大切な商談の機会となる。このチャンスを自分のものにするためには、売り込もうとする製品やサービスがどれほど相手に効果をもたらすかをきちんと伝えることが決め手となる。要するに、相手企業を調べるなど訪問する前の下準備を綿密に行えというわけだ。

 法人営業のスキルを再点検して軌道修正するうえで大いに役立つ好著である。(仁多)


『元キーエンスのトップセールスが教える 誰でも売れる「プロセス思考」営業術』
藤岡 晋 著
日本実業出版社 刊(1400円+税)
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