駐在記者・真鍋武が体験したリアルな中国

<駐在記者・真鍋武が体験したリアルな中国>プラタナス

2016/04/07 19:46

週刊BCN 2016年04月04日vol.1623掲載

 私は重度のスギ花粉症もちだ。しかし、上海に赴任してからは、スギがあまり植えられていないこともあり、花粉症には悩まされていない。代わりにこの季節は、街路や公園に植えられているプラタナスが、元気に種子を飛ばしている。道端には種子が堆積し、公園に面したビルに入居するBCN上海支局にも、窓を開けると種子が舞い込んでくる。

 大量に種子を飛散させるプラタナス。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」という言葉があるが、実際に木になるのはどのくらいの確率なのだろう。歩行者の服や頭に付着した種子は、わずらわしい存在として払い落とされる。道端に堆積した種子も清掃員に除去される。将来、立派な木にまで成長するのは、ほんの一握りではないか。

 営業手法にも「数撃ちゃ当たる」は存在する。しかし、中国ではプラタナスになってはいけない。むやみやたらに種子を飛ばしても、受け入れてくれる土壌(日系企業)の数は限られている。

道端に堆積したプラタナスの種子
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