▼物理学者のリチャード・P・ファインマンは、量子力学の発展に貢献し、ノーベル物理学賞を受賞した。1965年のことである。多くの功績を遺した偉大な物理学者だが、いたずら好きでも知られる。その一つが、名人とまでいわれた金庫破り。名声が高まって、開け方がわからなくなった金庫が持ち込まれることもあったという。初めて見る金庫をいとも簡単に開けてしまうファインマン。現在なら優秀なセキュリティエンジニアとなっていたに違いない。

▼IoTデバイスが普及し、いよいよセキュリティが危惧されるようになってきた。問題は、攻撃を受けたり乗っ取られたりしたことが把握されないことだ。ランサムウェアのように誇示してくれれば把握できるが、データの抜き取りなどが目的なら、一般の人は気づかないし、対策も面倒である。

▼IoTの活用範囲は広い。技術の進歩を止めてはいけないが、セキュリティ対策の進歩も両輪であるべきだ。

▼ファインマンが金庫破りの名人だったのは、金庫とその利用者の傾向に気づいたため。金庫は出荷時の番号がだいたい決まっていて、利用者は変更せずに使っていただけのことだった。(風)