北斗七星

北斗七星 2017年1月16日付 vol.1661

2017/01/20 09:00



▼将棋界が「ソフト指し疑惑」で揺れた。対局時にコンピュータのソフトウェアを使ったという疑惑だが、将棋ソフトの強さを将棋界が認めている証となった。将棋ソフトが人間よりも強いとなれば、プロ棋士は存在できるのだろうか。コンピュータよりも弱い棋士の棋譜に価値があるのだろうか。

▼自動車は人間よりも速いが、百メートル走やマラソンなどの陸上競技はなくなっていない。球速200キロの投球マシーンが登場しても、プロ野球は健在。将棋や囲碁のプロ棋士が存続する理由として、これらが挙げられるが、大きな違いが一つある。将棋や囲碁は、肉体ではなく、頭脳で敗北したということ。実に重い。

▼IT業界は人工知能を推進する立場、つまり人間を頭脳での敗北へと導く立場である。人工知能に仕事が奪われるとの脅威論は根強いが、世界は動いている。IT業界が遠慮してはいけない。

▼いち早くコンピュータに敗北したチェスだが、衰退するどころか、トッププロの収入が上昇傾向にあるという。敗北の影響はないようだが、裏でプロがチェスソフトを使っていないかなどと、うがった見方をしてしまう。(風)
  • 1