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「退屈な時間」は人生の花

 スマートフォンは神様だ。「ニュースを追うだけでも忙しくて時間が足りない。何とかしてくれ」と、ヒマ人が言う。スマートフォンがなければ、ヒマで退屈な日々を過ごしているはず。忙しいと思わせてくれるのだから、スマートフォンの存在をありがたいと思うべきだ。

 本書のタイトルは「『退屈』の愉しみ方」。現代人ならスマートフォンで暇つぶしと答えそうだが、もちろん違う。著者はスマートフォンの弊害を「自由な時間という意味での退屈な時間への耐性が身につきません」と指摘している。本書のポイントは“人生を豊かにする退屈な時間”にある。退屈な時間をつくる余裕ができたらゴールだ。

 忙しいから「退屈」には縁がないという人には、本書にある次の見出しを贈りたい。「バタバタしている人ほど、たいして成果を出していない」。ジワジワくる指摘である。忙しいと思っている自分が、少し恥ずかしくなってくる。(亭)


『「退屈」の愉しみ方』
名取芳彦 著
三笠書房 刊
(600円+税)