BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『本社は田舎に限る』

2018/11/28 07:00

週刊BCN 2018年11月19日vol.1752掲載



これからは田舎が熱い!

 中小企業が今後直面する課題は人材不足だといわれている。人を確保できないために、廃業せざるを得ない中小企業が増加すると予想されているからだ。最も人口の多い東京で、人が集まらなかったらどうすればいいのか……。「じゃあ、田舎に行こう」と考えた本書の筆者・吉田基晴氏の逆転の発想は大変面白い。

 吉田氏は、IT企業の社長だ。東京で起業したものの、人が集まらず生まれ故郷の徳島県美波町に戻った。実家の稼業を継ぐ……のではなく、人口わずか7000人の過疎地で人材を集めるためだ。美波町の遊休施設をオフィスとして改修し、仕事の合間に目の前の広がる海でサーフィンをしたり、オフィス近くの畑で農作業したりできる。こうした新しいアプローチをすることで、優秀な人材を確保。業績も拡大した。

 田舎は遊ぶ場所、というイメージが強い。しかし吉田氏は、課題が山積する過疎地こそ、課題を解決することでビジネスが生まれるという。田舎がビジネス創出の最先端となる日も近い。(海)
 

『本社は田舎に限る』
吉田基晴 著
講談社 刊(860円+税)
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