BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『教養としての 世界史の学び方』

2019/05/29 09:00

週刊BCN 2019年05月20日vol.1776掲載



現代を知るための歴史の読み解き方

 ビジネス誌には、「歴史をひもとけば仕事のヒントが見つかる」といった見出しがしばしば踊る。困難に直面したビジネスリーダーであれば、歴史上の人物に自らを投影し、彼ら彼女らならどのようにこの局面を乗り切るかと、思いをはせることは少なくないだろう。末端のスタッフであっても、いや、現場の一兵卒だからこそ、時代の大きな変化に翻弄されることがないよう、歴史から大局観を学ぶことは重要だ。

 しかし歴史は、単なる事実の羅列ではなく、書き手の見地や時代背景によるバイアスを必ず含む。学び方を間違うと、誤った先入観に捉われることにもなりかねない。

 本書は世界史の知識自体ではなく、現代に生きる私たちが世界を正確に把握するためには、その歴史をどのように読み解けば良いのかを、理論立てて教えてくれる。世界史を知れば、例えば消費生活の基本単位である「個人」や「家族」、あるいは私たちがビジネスの舞台としている「市場」といった概念が、どのように変化するかが見えてくる。(螺)
 


『教養としての 世界史の学び方』
山下範久 編
東洋経済新報社 刊(1800円+税)
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