余暇でも「報われたい」
ドラマや映画を見て、小説を読む。余暇に日常とは違う世界を覗き見て、感情を揺さぶられ、さまざまなシーンを反芻して思いを巡らせるのは面白い。何かかたちあるものが手元に残るわけではない。でもそうした時間は人生を少し豊かにしてくれるーーなどと昭和生まれの筆者は思っていたが、令和の受け手、特に若い世代の消費行動には違う傾向が読み取れるらしい。
著者によるとこの世代では、制作側の意図に関わらず作品に隠された「謎」の「正解」を探す「考察」の動画や記事が人気のあるジャンルとなっている。そこには人々の「報われない努力をしたくない」という気持ちがあり、何らかの「報酬」を求める行動、すなわち「報われ消費」が広がっているのだという。
仕事では常に何らかの「成果」が求められるものだが、趣味の時間にまで報酬が必要なんて大変だ。「もう少し気楽に休んだら」と言ってあげたくなるが、著者はこの背景には「一つの答え」を提示してくれるAIと、自らわざわざ探さなくても失敗のない「最適解」をレコメンドしてくれる、報われ消費と相性の良いプラットフォームの存在があるとする。そんな環境に要因があるとしたら、私たちにできることは何だろうか。考え込んでしまった。(実)
『考察する若者たち』
三宅香帆 著
PHP研究所 刊 1100円(税込)