店頭流通

新たな局面迎える記録型DVD より使い易い製品への脱皮を

2002/09/30 16:51

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

 記録型DVD市場が新たな局面を迎えつつある。ソニーが、DVD―R/RW機能に加えてDVD+R/RW機能ももたせた新製品を10月12日に発売すると正式に発表。一方でパイオニア製品の不具合が表面化するなど、今後のシェア争いに大きな影響をもたらしそうな動きが続いたからだ。まず、パソコン用記録型DVD市場について、BCNランキングを元に現状を俯瞰してみよう。(石井成樹●取材・文)

 パソコン用では、本体への内蔵市場とドライブ単体で販売するアフターマーケット市場があり、方式別シェアはかなり異なった様相を見せる。記録型DVDの場合、内蔵市場が早く立ち上がったことが、CD-R/RWなどほかのリムーバブルストレージとは異なっていた。しかし、ここにきて搭載率の停滞現象も見られる。ノートパソコンで記録型DVDを搭載してるパソコンはまだなく、デスクトップのみに搭載されている。そのデスクトップの搭載率は3月に19.6%まで上昇したものの、その後は足踏み。8月時点でも19.5%にとどまっている。

 デスクトップパソコンは、記録型DVDを搭載することで新たな市場開拓を狙ったが、市場のシュリンク傾向に歯止めがかからず、記録型DVD搭載機そのものも伸びに勢いはない。搭載機について方式別に見ておくと、パイオニア陣営のDVD-R/RW系が圧倒的シェアを誇る。4月の84・2%をピークに徐々にシェアを落としてはいるものの、8月でも74・6%を占める。DVD-RAM系は、15%前後で横ばい、DVD+RW系は8月でも2%足らず、DVD-RAMに加えDVD-R/RW、CD-RW機能ももったスーパーマルチコンボが10%前後に上がってきている--というのが現状である。

 一方、アフターマーケットにおけるDVDドライブ市場は、順調に拡大を続けている。1-8月累計の前年比伸び率は、台数が280・7%、金額が257・9%と絶好調である。もちろん、前年が立ち上がり期にあり市場自体が小さかったという背景はあるが、月ごとの販売数も増勢を維持。内蔵デスクトップの実販売台数を抜くところまできている。方式別では、内蔵市場とは一転、DVD+R/RWが45%程度のシェアでトップを走っている。DVD-RAM系はひと頃の勢いがなく、8月には30%を割った。DVD-R/RW系は徐々にシェアを高め30%目前にまできている。DVD-RAM/R/RW機は、まだ登場したばかりで数字に上がらないというのが8月時点だが、こうした背景のなかで、ソニーが「+」と「-」を融合させた自社開発機を出そうとしている。

 このマシンが登場すれば、「+」陣営、「-」陣営とも同様機能をもたせなければ競争から振り落とされることだろう。パイオニアの不具合が象徴するように、記録型DVDの製造はまだ極めて難しく、先行した各社とも増産体制の確立には苦労している。ソニーがどのくらいのレベルで立ち上げてくるかにもよるが、戦いが新たな段階に入ることははっきりしている。DVD-RAM陣営では、日立・LGグループがRAM/-R/RWに加えCD-RW機能をもたせたモデルで先行したが、当然、松下電器産業もこの路線を採用してくると見られ、この面からも戦いは新たな局面を迎える。不毛の戦いの側面はあるが、切磋琢磨で、より使い易い製品に脱皮していくことを期待しよう。
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