店頭流通

コクヨ、アーベル 連結子会社化で相乗効果発揮へ 販路拡大と製品の共同開発進める

2003/07/28 16:51

週刊BCN 2003年07月28日vol.1000掲載

 コクヨ(黒田章裕社長)は、アーベル(坂本卓志社長)に対する持株比率を40%に高め、資本提携の強化を図った。販路の拡大や共同開発による相乗効果で、競合他社との差別化を図ることが狙いだ。アーベルは、コクヨの物流会社を活用することで、大幅なコスト削減を図る。また、コクヨの販売チャネルを通じた法人向けビジネスの拡大につなげる。両社のPCサプライの合算売上高は135億円となり、同業界で第3位の規模となる。3年後に同事業で売上高200億円規模を目指す。

 コクヨは、プリンタ用紙やラベル用紙など、プリンタ向けサプライ用品のラインアップが豊富で、販売ルートでは文具店に強い。一方のアーベルの販路は、パソコン専門店や家電量販店、カメラ量販店だ。

 両社は、製品や販売チャネルの重複が少なく、補完し合うことで相乗効果を出せると判断。コクヨがアーベルの持株比率を40%まで高めて連結子会社化することに踏み切った。昨年6月からの業務提携で築き上げた両社のアライアンスをさらに強固なものとした。

 アーベルの坂本社長は、「コクヨの物流会社を活用することで、大幅なコスト削減を図れる。また、販売チャネルが広がったことにより、法人向けビジネスの拡大を加速できる」と話す。

 一方、コクヨは今年度からカンパニー制を採用しており、PCサプライ製品を開発・販売する「ITコミュニケーションカンパニー」を設置した。

 コクヨITコミュニケーションカンパニーの長司重明・マーケティング部課長は、「パソコンショップの販売チャネルを一層充実させる」と意気込んでおり、PCサプライ事業をファニチャー事業やステーショナリー事業に次ぐ第三の柱に成長させる。

 従来製品の拡販に加えて、共同開発した製品も順次市場に投入していく。共同開発は、製品ごとにプロジェクトチームを結成。パソコンショップ向けや企業向けなど、販路に合わせた製品を開発していく。アーベルでは、「開発要員を増強した」(坂本社長)としている。

 今年7月10日には、第一弾の製品として、流行柄を取り入れたパソコンアクセサリーブランド「raf raf」を発売した。同製品を手始めに、「東急ハンズやロフトなど若者が集まる店舗で販売する」(コクヨ・長司課長)としている。

 3年後には両社の合算売上規模を約200億円にまで引き上げる。

 アーベルの坂本社長は、「現在のサプライ市場は寡占化している。よい製品を開発しなければ、店舗が扱うスペースがますます縮小する」と指摘しており、「競合他社が参入していない分野で製品を開発することが、市場で勝つためのカギ」と強調する。
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