全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>3.東京・秋葉原(下)

2003/11/17 18:45

週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載

 東京・秋葉原電気街は、CDやDVD、ゲーム関連ソフト、フィギュアなどを販売するショップが増えている。旧来の「電気街」から「エンタテインメントの街」へと変貌しており、パソコンの購入で秋葉原を訪れるユーザーは減少傾向にある。加えて、インターネットショップで購入するユーザーが増えているため、客引きのための低価格競争がさらに激しくなっている。

パーツ専門店、新規顧客獲得に知恵

 そんななか、T・ZONE DIY(長谷禎彦代表取締役)が運営する組立パソコン用パーツ専門店「T・ZONE PC DIY SHOP」のように、「売上高は、平均で前年同月比10%程度の増加で推移している」(上月直人フロアマネジャー)と着実に売り上げが伸びているショップもある。

 同店の1日平均の来店者数は、平日が約5000人、土日は2倍の約1万人。「平日の顧客層は、30歳以上のパソコンマニアが多いが、土日になると20歳代前半のマニアではない若年層が増えている」と話す。

 同店では、組立パソコン用パーツの修理を受け付ける「サポートカウンター」を店内に設置し、競合店舗との差別化を図っている。

 サポートカウンターでは、組立スペースを設けており、購入者がサポート要員のアドバイスを受けながらパソコンを自作できる。現段階では、同店で購入した製品に限って問い合わせやトラブルに対応している。来春までには、他店舗で購入した製品にも対応する予定で、順次サポート要員の増強を進めている。

 同店が店舗を構えるエリアはパーツ専門店が密集しており、「パーツ通り」として有名。上月フロアマネージャーは、「顧客獲得競争は激しいが、体力勝負の”安売り戦略”だけでは顧客が増えない」と、低価格路線とは一線を画した顧客獲得戦略が必要と知恵を絞っている。その1つがサポートの拡充だ。

 一方、意外にも同店では組立済みのショップブランドパソコンの展示を極力少なくしている。同店舗のオリジナルパソコンを、「メーカー製パソコンと比べて安いという理由だけで購入する」という顧客が多いからだ。こういう客層は低価格だけを重視しているため、「充実したサポートを求めていないユーザーが多い」とサポートビジネスには結びつかないと分析する。

 パソコンおよび関連機器のなかで、パーツは需要の裾野が広がりつつあり、販売が好調だというショップが多い。売り上げを伸ばしていくためには、独自性をもった店舗作りに注力し、既存顧客を増やしていくことがカギになる。(佐相彰彦)
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