店頭流通

ビックカメラ パソコンとデジタル家電販売の融合へ 新宿西口店、フロア責任者の配置換えも

2004/03/08 18:45

週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載

 ビックカメラが運営する新宿西口店(東京都新宿区)がパソコンとデジタル家電機器を融合させた販売展開に乗り出す。春商戦本番に向け、パソコンとデジタル家電機器の各フロア責任者の配置換えを実施。AV(音響・映像)機器のデジタル化が進んでいることから、パソコンとデジタル家電双方を担当できるような接客を徹底する。デジタル家電の販売は年末年始商戦が前年同期の3倍以上を達成する一方、パソコン販売は前年同期並みという厳しい状況。将来的には、パソコンとデジタル家電を融合させた商品展示も視野に入れている。

 新宿駅前の小田急ハルク館の2─6階に店舗を構えるビックカメラ新宿西口店は、2階でデジタルカメラ、3階で薄型テレビやDVDレコーダー、4階でパソコンおよび関連機器を販売している。各フロアの売り場面積は約3000平方メートル。商品数は30万アイテムを超える。従業員は、1つひとつの商品カテゴリーで専門的な知識を持っており、自分が得意な商品に関しては来店者のニーズに対応できる接客を徹底している。フロアが分かれている大型店舗では、各従業員がすべての商品知識と接客ノウハウを兼ね揃えるのは相当なスキルが必要になるため、ビックカメラ新宿西口店が行っているような専門的な商品に特化する人員として教育するのが一般的になっている。

 しかし、最近ではテレビチューナーやDVDレコーダーを搭載したパソコンが主流になり、一方で地上デジタル放送対応の薄型テレビやDVDレコーダー需要が急激に増加している状況だ。新宿西口店の塚本智明・執行役員営業部長兼店長(=写真)は、「AV機能を搭載したパソコンや、AV機器のデジタル化が進んでいる。また、来店した顧客からパソコンコーナーでBS(放送衛星)やCS(通信衛星)に関する問い合わせも多くなった。こうしたニーズに応えることが重要になる」としており、「春商戦本番には、AV機器コーナーとパソコンコーナーの各責任者がどちらの売り場も担当できる体制にする」と、接客レベルのアップで拡販につなげる方針。商品教育については、「パソコンコーナーとAV機器コーナー共通の勉強会を定期的に開いている」という。

 年末年始商戦におけるデジタル家電の販売は、「前年同期の3倍以上を記録した」と、好調ぶりを示す。一方、パソコンおよび関連機器の販売は、「モバイル型のノートパソコンが善戦したものの、02年末─03年年初の商戦で好調だったA4型のノートは不振だった。また、PCパーツやサプライ品は伸びたが、プリンタなど周辺機器は若干減少した」としており、全体としては前年同期並みで推移したという。新宿西口店の売上構成比は、パソコンおよび関連機器が全体の20%、AV機器も20%とほぼ同じ。つまり、AV機器が伸びても、パソコンの販売が不振であれば全体の売上高を伸ばすことはできない。このため、「パソコンコーナーの担当者が映像関連機器にも詳しくなることがユーザーの購入意欲を高める要因」になると判断した。

 パソコンとデジタル家電を融合させたフロア作りについては、「当店はパソコン上級者だけでなく、中級者や初心者も来店する。パソコンを含めたデジタル家電とパソコンを加えた展示を行った場合、初心者が混乱することにもなるので、当面は融合した展示はしない。しかし、将来的には視野には入れていく」と、現時点では時期尚早と判断しているが、顧客ニーズが高まれば迅速に対応するとしている。
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