店頭流通

三洋電機 SDデジタルムービーを改良 新規需要の喚起目指す

2004/08/30 18:45

週刊BCN 2004年08月30日vol.1053掲載

 三洋電機(桑野幸徳社長)は、動画撮影中にも静止画撮影に切り替えられるSDデジタルムービーカメラに改良を加え、9月10日から販売する。デジタルカメラ市場とビデオカメラ市場がともに成熟化しつつあるなか、OEM(相手先ブランドによる生産)を含めたデジカメのトップメーカーとして、新市場開拓につなげたい考えだ。

 新たに発売するのは、昨年11月から販売している「ザクティDMX-C1」の後継機種となる「同DMX-C4」。動画撮影時用に手ぶれ補正機能を加えるとともに、静止画撮影時の画質も320万画素から400万画素に引き上げ、モニターの液晶パネルも1.5型から1.8型に大型化した。メーカー希望小売価格は、C1より3000円安い7万5600円(税込み)、販売目標は年間20万台。

 既存モデルのC1は、SDメモリーカードを媒体として、動画撮影に軸足を置きつつ、高画質の静止画記録を並行できるという新しいコンセプトを打ち出した製品。昨年11月から今年7月末までに国内外で16万台を販売している。市場全体からみれば販売台数は依然小さいものの、動画撮影専用モデルに比べ、使用頻度が高まるというユーザー調査結果が出ている。

 一方、急速に市場拡大が進んだデジタルカメラは、2004年もグローバルで6090万台(前年比40.3%増、カメラ映像機器工業会調べ)の販売が見込まれているが、成熟期に入りつつある。このため、主要メーカーが今秋発売する新製品では、静止画の高画質化を進めるとともに、動画撮影の機能を高めたものが増えてきている。しかし、静止画撮影がメインとなるため、動画記録時間が短いのが現状。また、高画質化も、日常的な使い勝手の面からは差別化の要素としてはインパクトが薄れてきている。既存のデジカメ・ビデオカメラという形では、市場の成熟化は避けられない。

 03年度にOEMを含めたデジカメ出荷台数約1100万台でトップメーカーだった三洋電機は、04年度も1800万台の出荷を計画しているが、市況は軟化してきているのも事実。ただし、C1は静止画中心のデジカメに比べ、価格下落率が小さく、新規の需要喚起も期待できる。トップメーカーとして、C4投入も含め、レンズメーカーなどの光学系企業との協力を強化し、商品開発期間の短期化などを進める方針。新たな需要喚起で、競合社による同カテゴリーへの参入を促し、新市場開拓につなげたい考えだ。
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