拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>4.DVDレコーダーとホームネットワーク(下)

2004/09/27 16:51

週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載

 自宅で、複数のパソコンをつなぎ家庭内LANを組んでいる世帯が現在約5%ある。LANの設定も厭わないこれらの世帯が、家電によるホームネットワークにおいても、最初に導入するユーザーになるだろう。また、2008年時点での家庭のブロードバンド回線普及世帯が、全体の60%弱になると予測されている。残り55%の世帯もホームネットワークユーザーとして取り込んでいくためには、通信設定の簡素化や、配線のワイヤレス化が不可欠となってくる。(廣戸健一郎 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 今後、ホームネットワークが普及していくための条件として、以下に挙げる課題がある。

(1)著作権管理の技術の仕組み
(2)通信規格の標準化・設定の簡素化
(3)著作権者の同意
(4)メディアサーバーの容量・機能向上
(5)ワイヤレス通信手段の確立
(6)ネットワーク機能の付いた再生機(テレビ、オーディオ)の普及

 (1)・(2)は、前回触れた規格標準化団体、DLNA(Digital Living Network Alliance)により解決されることを期待したい。標準化されたうえで、課題(3)として、テレビ局や音楽レーベルなど、コンテンツの著作権保有者がその仕組みに同意することが不可欠になる。課題(4)として、現在のDVDレコーダーがさらに大容量化し、多チャンネルを同時に録画できるようにならなければ、メディアサーバーとして機能しない。さらには、蓄積されたコンテンツの検索能力も必要になってくるだろう。

 課題(5)は「No New Wire」と呼ばれる。ホームネットワークを導入する際、家庭内をLAN配線がのたくる状況は現実的ではないため、無線か電力線通信が不可欠になる。課題(6)は難しい問題だ。ネットワーク対応レコーダーは、テレビ側にネットワーク機能がついていなければ売れない。ネットワーク対応テレビもレコーダー側のネットワーク機能が不可欠だ。つまり、卵が先か鶏が先かという状態に陥ってしまう可能性があるということだ。今後、ホームネットワークが普及すると、以下の市場が拡大する。

・テレビ、DVDレコーダーのネットワーク対応製品への買い替え需要
・ネットワーク機器・モジュール需要
・設定サポート、コールセンター需要
・コンテンツ需要

 上述の(1)-(6)の課題がどのように解決されていくかによって、来るべきホームネットワークの姿は変わってくる。今後の動向を注視し、どの市場がより大きくなるか見極め、早い段階から手を打っていった事業者が大きく成長するだろう。
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