全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>54.秋田県秋田市(中)

2004/11/29 18:45

週刊BCN 2004年11月29日vol.1066掲載

 秋田県秋田市では、JR秋田駅の西側で家電量販店の出店が進みつつある。このため、東地区にあるショップにとって最も頭の痛い問題は、商圏の縮小だ。

白物家電の充実がカギ

 東地区にある秋田自動車道の秋田中央インターチェンジ近くに店を構えているギガスケーズデンキの「ケーズデンキ秋田本店」は、「西地区方面からのユーザーが徐々に減っている」(高橋弘幸副店長)と切実な問題として受け止めている。

 現段階では、1日平均の来店者数が平日で約500人、土日・祝日で1000人以上と、昨年度よりも増えているが、来店者増は競合他社のデンコードーが東地区にあった「スーパーデンコードー秋田店」を「Maxデンコンドー秋田店」として西地区に移転したことで、その分、ケーズデンキに来店し始めたことが原因。西地区に競合店舗が出店し始めた02年以降、来店者数の大きな減少はまだないが、07年3月の西地区と秋田自動車道をつなぐ秋田中央道路の開通で、「将来は来店者数が減少する可能性は高い。早急に顧客を増やす策を講じなければならない」と危機感を募らせている。

 ケーズデンキ秋田本店が顧客囲い込み策として注力しているのは、白物家電の強化。「冷蔵庫や洗濯機などの白物家電は生活に必要な商品。競合他社よりも取扱品数を増やせば、顧客は『ここに来れば欲しい物が買える』と、気軽に来店してくれる」と差別化を図る。

 店内では、パソコンを日常業務で活用するビジネスマンなどが会社帰りに立ち寄るということを踏まえて、パソコン関連の消耗品を多く揃えている。商品点数で見れば、白物家電の構成比は約4割と情報通信関連機器より低い。しかし、売上高に関しては白物家電の比率が5割に達している。通常、情報通信関連機器の売上比率が6─7割程度に達する競合店舗に比べ、白物家電については「売れ筋商品を展示しているから」と自信を示す。ギガスケーズデンキが10万円以上の商品に無料の「10年保証」という制度を採用していることも、高額な白物家電の販売増を後押ししている。

 来店者は、40歳以上のビジネスマンや主婦が多い。白物家電で同店の顧客となったファミリー客ならば、子供の新入学などでパソコンをプレゼントする際に同店を利用してもらえる。そんな狙いもある。また、「子育てを終えた主婦が自分のパソコンが欲しいというニーズもある」という。来店者を新規顧客として獲得し、継続的に収益を伸ばすために白物家電も戦力になると踏んだわけだ。(佐相彰彦)
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